説明
連載講座「植物の葉や花に関する力学的研究」
キュウリの体を支える巻きひげの力学的役割 その2
キュウリの巻きひげのような反転ら旋構造には、ばね部中央に巻き方向が反対になる反旋部があり、その反旋部は、通常負荷が作用するばね両端から独立して自由に回転できる状況であるがゆえに、両端に引張り負荷を受けると、小さい引張負荷の範囲であれば、巻き込みがより強固になる、つまり ら旋を締める方向に回転し、その現象の大きさは素線材の剛性比が小さいほど大きいことがわかった。
キュウリの巻きひげの反転ら旋構造には、もちろん、ら旋部形成時の必然性(最初に巻きひげの先端部が外部の支持構造に巻き付いて固定した後、巻きひげの根元と先端の中間部から、自らの体をねじって ら旋部を形成するために、例外なく右巻と左巻が連なった状態になること)という大きな形成要因もあるけれども、結果として生じた反転ら旋構造が、剛性比の巧みな選択により、ある程度以下の引張負荷であれば、ばね部がより強固になるように回転して自動的に外的負荷に対する抵抗力を高める極めて巧みな構造であることが明らかになった。改めて、自然の巧みさにただただ脱帽するばかりである。自然は実に素晴らしい!
(株)衝撃工学研究所 執行役員
大阪大学 名誉教授
小林秀敏
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