目次
はじめに
はじめに(上巻)
第1章 植物病と植物医科学
1.1 植物病とは
1.2 歴史と現状
1.3 植物医科学とその意義
第2章 植物病の種類と伝染方法
2.1 植物病の種類
2.2 伝染方法
第3章 臨床診断技術
3.1 植物病診断と病因の同定
3.2 問診技術
3.3 診断技術
第4章 治療技術
4.1 治療とは
4.2 治療の実際
4.3 樹木・果樹の治療
4.4 作物・花き・圃場の治療
第5章 防除技術
5.1 防除技術とは
5.2 農薬の種類
5.3 農薬の作用機作
5.4 薬剤耐性
5.5 農薬の安全性
第6章 予防技術
6.1 耕種的予防技術
6.2 物理的予防技術
6.3 化学的予防技術
6.4 生物的予防技術
6.5 病害抵抗性育種
6.6 発生予察
6.7 総合的有害生物管理
第7章 食と環境を守る植物医科学
7.1 食と植物医科学
7.2 食の安全・安心確保と 農産物の付加価値
7.3 食品の表示ガイドライン
7.4 フードロス
7.5 バイテク作物
第8章 植物医科ビジネス
8.1 食料生産を脅かす植物病
8.2 植物病院
8.3 植物医科ビジネスの展開
第9章 植物医科学の担い手
9.1 植物医師とは
9.2 技術士の国家資格を持つ植物医師
9.3 関連する資格
第10章 植物医科学に関連した法令と政策
10.1 植物医科学に関連した法令
10.2 植物医科学に関連した政策
第11章 植物病診断の実際
11.1 紛らわしい植物病の判別法
11.2 写真集(病徴と特徴)
終 章
索 引
説明
上巻刊行から13年、「植物医科学」の全編完結版が全頁フルカラーで刊行される。230点余りの図表、約500枚の病徴写真を駆使した教科書である。
12の章からなり、前半は植物医科学の「知の構造化」編、後半は植物医科学の「知の社会実装」編で構成されている。旧上巻の内容は最新のものに改訂し前半部分に配置し、当初下巻として構想されていた後半部分では、植物医科学の「知」のマネジメントにより環境・生態系に優しい植物生産をいかに効率的に行うかを論じている。とくに植物医師とその活動拠点となる植物病院の展開について、先進事例や海外での取り組み等を交え幅広く論じている。
特筆すべきは食の安全と環境保全に対してそれらが果たすべき役割が明確に述べられる一方で、その活動を持続し成長させるための植物医科ビジネスの可能性がさまざまな視点やアイデアとともに提示されている点である。同時に、学問とビジネスの融合において重要な要件となる法令・政策についても、多くのページを割いて農業環境の改善や生物多様性、脱炭素社会に向けた法令・政策と植物医科学の関係が分析されている。これらは類書にない特徴である。植物病診断の達人になるためのヒントも満載で、写真入りの詳説は初学者にもわかりやすい。植物医師をめざす者、現役の植物医師、農業関連法人や農業生産に携わる者にとって、上巻同様バイブルでありつづけるであろう。
「植物医科学」は農学のみならず、あらゆる学問分野に横串を刺し、植物を「診る」という視点から生命に寄り添う境界融合臨床科学である。
「植物病」は微生物病・害虫病・生理病・雑草害などの総称で、微生物病・害虫病・雑草害だけで、生産可能量の1/3(約200兆円相当)の食糧を毎年失っており、微生物病による損失だけで飢餓人口8億人分の食料に相当する。この現実に対して、私たちはどう切りこんでいけばいいのか。本書は、植物・微生物・昆虫の相互作用を分析するミクロな視点から、それらの織りなす自然現象を俯瞰的に眺める視点、さらには人間・社会・ビジネスの視点、そして地球環境のマクロな視点にいたるまで、多層なレンズで難題に焦点を当て解決の糸口を提示する。
植物・微生物・昆虫に興味のある人、一歩引いて自然現象を眺めたい人、現場に役立つ知と技を身につけたい人、新たなビジネス創出に興味ある人にとって、価値ある知と技が得られる。また、植物病について統合的に記述しており、植物保護に対する俯瞰的な視点を養うことができる、これまでにない研修教材としての活用も期待される。
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