説明
改訂にあたって
本書は、1995年に大学の基礎科目の教科書として初版が出版された「連続体力学の基礎」の改訂版である。
大学の学部講義において、連続体力学の基礎的な考え方を一学期間で修得するための教科書として、著者らが所属する大学などで長年用いられてきた。
講義を進めながら毎年のように見出される新たな発見や誤りなどを含めて、この度全体を再度見直し、次なる世代の方々にもしっかりとした古典として学ぶことができる教科書となるよう改訂を進めた。
本書が、今後も連続体力学の基礎を学び、研究に応用しようとする方々のお役に立つことを心より願っている。
初版より
本書は、筆者が所属する大学の基礎教育課程において工学系の学生が基礎教育課程を修め個々の専門分野の力学を学ぶ前に、それからの力学の根幹をなす連続体力学の基礎的な知識を与えることを意図して開講している講義用テキストをもとに著しており、大学の基礎教育課程の学生がよく知っている数学的基礎知識を持てば理解できるように、できるだけわかりやすく基礎的な項目に重点をおきつつ、より高度な発展にも対処しうる内容となっている。
本書は、はじめに連続体ならびに連続体力学の考え方について概説したのち、本書の独立性を考え必要最小限のマトリクス代数ならびに連続体力学の基礎理論の展開において不可欠な総和規約について述べる。続いて、ベクトルと直交デカルト座標系のテンソル、変形とひずみおよび応力の説明をしたのち、連続体に対して一般に成立する質量ならびに運動量とエネルギー保存則などを積分形と変位、ひずみ、応力、温度などの場の変数の支配方程式の形で与えている。
各種流体と固体の変形応答に関しては、ニュートン流体、弾性体などの線形構成式を中心として、その代表的なものを示す。
以上の各種変数の支配方程式と構成式から、ナビエ-ストークスの方程式、ナビエの方程式、熱伝導方程式などを導出し、それぞれの境界値問題を定式化する。さらに、境界値問題と対応する変分原理を示し、最後に、連続体力学における各種近似解析法定式化と重み付き残差法と変分原理との関係について説明を加える。
ニュートン流体、弾性体、粘弾性体、塑性体など流体および固体力学の各種領域については、工学的に重要かつ広範な分野を形成するが、ここでは構成式を一部示すにとどめた。これらの分野の構成式の詳細とそれによる境界値問題の解析については、それぞれの専門書にゆずる。
連続体力学を理解するためには、基本となる基礎式の導出、応用が不可欠である。そのために安達泰治助手による理解を一層深めるための例題ならびに数多くの演習問題を各章中に配し、詳細な解答を付けている。
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