説明
成長と拡大を続けたわが国の花き生産は21世紀を迎えてますます成熟し、生産から販売、利用まで発展して一大花き産業に成長した。川上の研究開発や育種から生産、流通・販売そして川下の消費利用まできわめて多様に拡大し発展した。その間の技術はもちろん、施設・装置や資材の開発とIT化は花き生産の様相を大きく変えている。さらに花き生産は国際的にも拡大し、発展途上国の花き生産の参入は先進国の花きの生産・消費の構造を大きく変えた。すなわち発展途上国生産の花が先進国に輸出されて消費されるという図式が次第に濃くなっている。これからの花き生産やビジネスは世界を視野に入れないと成り立たなくなっている。
本書の前身「趣味・営利花卉園芸ハンドブック」は当時、急成長する日本の花き生産の指導書として昭和43年(1968年)に初版を出版した。昭和58年(1983年)には全面改著の「新編花卉園芸ハンドブック」を送り出した。いずれも栽培中心の技術指導書で読者を指導者、生産者や学生を対象とした。その後、成熟した世界や日本の花き生産やビジネスは大きく変化している。現在の花き産業は研究開発分野から生産、販売、それに関わる施設・資材や種苗生産など多様な業界を包含する大きな産業に成長し多くの人たちが関わっている。そこでこれらの方々を対象とした21世紀版の花き産業ハンドブックというべき本書を25年振りにまとめることとした。
内容は、世界の花き生産の動向、発展史、花き園芸の基礎、育種や研究の歴史的発展、栽培の基礎理論と生産技術、施設や資材、生産に関わる作業、生産システムや経営など栽培、流通、販売、消費利用まで広範囲な記述につとめた。各論も切り花、鉢物、花壇用花きに分け生産、販売上主要な種類を取り上げ、育種や栽培発達小史など各種類の歴史的背景や文化史にも触れ、単に栽培技術の指導だけでなく花き全般の発展史や文化的側面にもふれ、豊かな人間性を取り戻し、地球環境に優しい21世紀の花き園芸書の上梓に努力したつもりである。その概要は総合索引や今回初めて採用した人名索引を一覧してもらえば本書の概要と著者の意図がお分かりになると思う。
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