目次
口絵
季節の花〔192〕-3月の花 バーチェリア・ブバリナ,ブルビネラ・フロリブンダ,シュンラン,アフェランドラ・シンクライリアナ,アルディシア・ピラミダリス,ゲラニウム・マデレンセ
元 島根大学 生物資源科学部
細木高志
論説・総説・資料・実用
オクラの高品質生産に関する研究
園芸研究家
三浦周行
温州ミカン栽培における植物成長調整剤の利用
静岡県立農林環境専門職大学生産環境経営学部
佐藤景子
中山間地域の集落活動における参加者の心理的要因
東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授
八木洋憲
東京大学大学院農学生命科学研究科 修士課程(執筆時)
髙田瑛仁
外来昆虫ソテツシロカイガラムシによる奄美大島・沖縄島のソテツの危機
鹿児島大学農学部害虫学研究室
坂巻祥孝
鹿児島県森林技術総合センター
東 正志
(一財)沖縄美ら島財団
辻本悟志
鹿児島大学大学院農林水産学研究科
長田聖哉
放牧地の植物種多様性がもたらす反すう家畜生産の向上について
―放牧地植生・栄養摂取・ルーメン微生物叢の関係から探る―
東北大学大学院農学研究科
小倉振一郎
気候変動にともなう降水の極端化への対処
近畿大学農学部
飯嶋盛雄
栃木県における被覆植物を利用した畦畔管理の省力化に関する検討〔2〕
-畦畔管理に適した被覆植物の選定-
宇都宮大学 農学部附属農場
高橋行継
高橋まさみ
高橋美羽
山口則勝
森島規仁
大垣 崇
育苗培養土の理化学性の違いがレタス苗の生育に及ぼす影響
香川県農業経営課 主席専門指導員
香西修志
香川県東讃農業改良普及センター 副主幹
中西 充
腟温測定を用いた牛繁殖管理
農研機構 畜産研究部門 高度飼養技術研究領域 繁殖システム
グループ
(グループ長)阪谷美樹
(研究員)吉山 紬
(主任研究員)三輪雅史
シソ科ハーブの混植による植物成長促進と代謝成分変動
岐阜大学応用生物科学部園芸植物栽培学研究室 教授
松原陽一
ヒガンバナでみられた稀有な殖え方
九州大学 名誉教授 園芸福祉研究所
松尾英輔
連載記事
人工降雨・降雪のための液体炭酸法〔9〕
第 9 章 人工降雨法の今後の課題と展望
九州大学 名誉教授
真木太一
トマトの尻腐れ果を中心とした生理障害の理解と発生機構〔2〕
東北大学農学研究科
金山喜則
農業水路や河川における回遊魚の動態〔2〕
―PIT タグによるアユ遡上時間の短期観測―
石川県立大学 生物資源環境学部
一恩英二
長野峻介
京都大学 大学院 農学研究科
藤原正幸
愛媛大学 大学院 農学研究科
泉 智揮
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科
吉岡秀和
テンサイの網羅的観測から得られた新知見
〔1〕 生育と生長
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 中日本農
業研究センター
臼井靖浩
農界ニュース
説明
〔記事ピックアップ〕外来昆虫ソテツシロカイガラムシによる奄美大島・沖縄島のソテツの危機
ソテツ(Cycasrevoluta)はソテツ目ソテツ科ソテツ属に属し、日本では九州南部から南西諸島に広く自生する常緑の裸子植物である。本種は海外では台湾の東部と中国本土南部に分布しているが、これらの地域には近縁な別種のソテツ属も自生している。ソテツ属は世界に100種以上が分布しているといわれているが、そのほとんどの種の自生地はアジアおよびオセアニアの熱帯・亜熱帯地域である。
ソテツは南国のエキゾチックな雰囲気を想起させ、その割に寒さにも強く、害虫も少なく病気にも強いので、都会でも、商業施設や公共施設のビル周辺の花壇などにもよく植栽されている。そのため、わが国の自生地では観賞園芸作物として栽培もされ、国内の流通だけでなく、海外への輸出もおこなわれている。また、古くから奄美大島では子実を加工して毒抜きして澱粉あるいは味噌を作る(現地ではナリミソとよばれる)など、食品(おもに救荒食)としても用いられてきた。
さらに、鹿児島県の九州本土域内の指宿市、南さつま市、南大隅町、肝付町のソテツ自生地は分布北限として、国指定の天然記念物に指定され、観光地となっている。本種は奄美大島では海岸線に多く自生するが、島中央部の山地でも照葉樹の間に自生していることがあり、さらに道端には多数の株が街路樹として植栽されていることから、まさに景観を代表する植物の1種ということができる。
吉良・三好(2000)によると1996年時点の奄美群島のソテツ自生面積は1860haで栽培面積は11.6haであるという。この栽培面積の多くは種子生産と苗木販売のためのものである。財団法人日本花普及センター(2008)によれば、ソテツ科植物はワシントン条約「付属書Ⅱ」に該当する品目の輸入制限品(現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その標本の取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となるおそれのある種)であり、輸出入の際には栽培品であることを示す「人工繁殖証明書」が必要になる。したがって、自生のソテツ属は国際的にも保護の必要性がある植物と認識されている。
そのソテツが奄美大島では現在つぎつぎと枯死して、絶滅の危機にある。現地在住者によれば2021年くらいから葉の枯れ目立ち始めたとのことであるが、2022年10月に鹿児島県森林技術総合センターが奄美大島に調査に入った際に、ソテツの葉裏に隙間なくカイガラムシが固着して、葉が枯れかけている株を多数確認した(図1、図2)。
これら被害葉から採取したカイガラムシは、形態(図3)とDNA配列(GenBank Accession Nos. LC744882-LC744883)を確認した結果ソテツシロカイガラムシAulacaspis yasumatsui Takagi, 1977であると同定され、日本国内における初の事例であるとして報じられた(鹿児島県森づくり推進課・鹿児島県森林技術総合センター 2022、鹿児島県森づくり推進課 2023;高梨 2023;川口ら 2024)。本種は、各地のソテツ目植物の自生地や植栽地でこれらを枯死させ、壊滅的な被害を及ぼす重要害虫としてしられており、英語名のCycad Aulacaspis Scaleを略してCASとの通称でよばれている(Howard et al. 1999など)(以降、本種をCASとする)。
その後、2023年初頭には沖縄島でもCASによる被害樹が確認され、南西諸島広域への分布拡大が懸念されている。本稿ではその後の奄美群島および沖縄島でのCASの分布拡大、および、生態、天敵、発育にかかわる温度反応について現在までの知見を概説する。
鹿児島大学農学部害虫学研究室
坂巻祥孝
鹿児島県森林技術総合センター
東 正志
(一財)沖縄美ら島財団
辻本悟志
鹿児島大学大学院農林水産学研究科
長田聖哉
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