電磁現象と逆問題

説明

近年、逆問題解析は科学技術の数値解析手法の重要な一分野に成長してきている。逆問題解析は、観測から得られた限られた情報から、その源となるイメージを再構成する営みといえる。その意味でいえば、人類は古来、逆問題を解き続けてきたといえる。測定をベースとした実践的営みには逆問題解析は不可欠の要素である。逆問題解析は最小二乗法、誤差論、最適化、制御工学、確率論、統計学、画像処理技術、さらには各種問題に応じた物理、化学、数学、コンピュータ技術を包含し、一大学問体系になろうとしている。 本書では逆問題解析の応用分野として非破壊検査を主に取り扱っている。非破壊検査は人工物たるシステムのメンテナンス、健全性評価、寿命評価および延命処置に不可欠な重要な科学技術である。本書では、物理、化学、数学から始まる一貫性を貫き、理論をしっかり記述した。したがってその部分は教育的であり、学生用の教科書として十分に使用できるものとなっている。さらに、理論に加え、逆問題解析研究の最前線の成果を適度にちりばめ、調和をとっている。