説明
この本の題名の “再論” には、二つの意味がある。
一つは、トライボロジーにおける常識を見直してみようという意味である。トライボロジーという名前ができてから半世紀近く経ち、この分野の中でしか通用しない常識みたいなものができて、内部のエネルギーの割には外界へのインパクトが弱くなってきたように思うのだ。そこで、このへんで一度、トライボロジーにおける常識を、工学の常識、あるいは一般社会の常識から見直す必要があるのではないかということである。
もう一つの意味は、『トライボロジー概論』(1982年、養賢堂発行) を見直そうという意味である。『トライボロジー概論』 は、かつて東京工大にいた故 岡部平八郎氏と 、『機械の研究』 誌に連載講座 『トライボロジー入門』 を書き、 それを単行本にまとめたものだった。それから30年も経ち、腑に落ちたところもあったし、自分の考えが変わったところもある。そのへんをあらためて考えてみたいと思い同誌に『トライボロジー四方山ばなし』を連載し、今回、再び単行本として出版することとなった。
この本ではところどころ寄り道をして、 学術書らしからぬ無駄話を書いた。 筆者の世代のトライボロジストがどんどん現役を引退する状況にあるので、このままでは消えてしまうであろう故事来歴のたぐいを、次世代のトライボロジストにぜひ伝えておきたい。
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