説明
本書の「動物」とは人間が生活と生産を維持するために関係し利用する対象であるが,21世紀になって西欧およびアジア日本において,動物を「感受性のある生命存在」として認識する活動が強まっており,いわば「生命共生主義」という新たな動物観が形成されつつある。
人間動物関係論では,すべての生命の循環である自然生態系のなかで相互に依存している関係を考えるとともに,人類社会の進展によるその関係性の変化を動物種別に取り上げており,それとともに形成されてきた自然観・動物観を考察している。
本書では動物について広く学ぼうとする学生向け一般教養科目書であるばかりでなく,一般読者にとっても身近な専門書としても活用されるように,従来の畜産学,獣医学,医学などと農業経済学,社会学,心理学,文化人類学などとの領域にまたがる学際的な豊富な内容となっている。
目次
序章 人間と動物の関係論について
第1章 野生動物と人の関わり
第1節 地球環境汚染と動物— 野生動物からのSOS —
第2節 多様化する野生動物問題
第3節 生物多様性を保全するシステムの開発 — 自然共生農業論 —
<コラム> 外来動物問題 アライグマによる生態系影響とその対策
第2章 畜産動物と人の関わり
第1節 動物はいかにして家畜になったか
第2節 クローン技術がもたらすもの
第3節 アニマルウェルフェア畜産の発展
<コラム> 有機畜産
第3章 伴侶動物と人の関わり
第1節 犬と人間
第2節 子どもの発達と動物飼育— 動物との特別な関係 —
第3節 伴侶動物の問題行動
第4節 ペットロスって何?
第5節 犬と猫の食事と健康
第6節 動物の母性行動とホルモン
<コラム> マンションでのペット飼育問題の解決法
第4章 人の医療・福祉補助としての動物
第1節 アニマル・セラピーとその周辺
第2節 障がい者乗馬
第3節 障害者福祉と介助動物
第4節 人獣共通寄生虫病
第5節 さかなと人間
<コラム> 人の生活と実験動物
第5章 日本人と動物文化
第1節 日本人の動物観
第2節 鯨と日本人
第3節 日本人と動物園
第4節 競走馬と日本人
第5節 日本人の動物観と保護法制 ―日本における動物愛護・福祉論—
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