説明
生命科学のフロンティアをめざす北里大学では、北里博士の教えや統合知の視点から、農学、環境および医学の分野が密接に連携し、実学の思想を今なお生かすべく、六年前から環境を通して農学と医学を連携させるため「農医連携」という言葉を発信し、研究・教育・医療・普及の進展に努力しています。現代社会が直面している感染症、食の安全、重金属汚染、地球温暖化などの問題を解決するには、環境を通した農医連携の考え方と実践が不可欠だからです。
この度、不幸にもわれわれは東日本大震災に遭遇しました。大震災は多くの人びとの生命と生活を容赦なく奪っていきました。想像を絶する今回の地震と津波という環境変動は、農業生産と健康問題に大きな影響を与えています。この大震災によって、われわれは環境を通した農医連携の必要性をさらに深く痛感してきました。
今回の大震災によって、岩手県大船渡市に所在する北里大学海洋生命科学部・水産学研究科も人的および物的な被害に遭いました。今回の大震災を農医連携にかかわる事象ととらえ、北里大学が体験した震災にかかわる教育・研究・医療・普及に関して「北里大学農医連携学術叢書10号:東日本大震災の記録-破壊・絆・甦生-」と題し、それらの内容を記録したのがこの本です。農医連携に関心のある読者、また東日本大震災一つに関与された方々に何らかの参考になれば幸いです。
最後に、東日本大震災に被災された方々、震災後の今なお厳しい状況におかれておられる方々に、心からお見舞い申し上げます。
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