説明
登熟時の高温による玄米外観品質低下が広い地域で問題となっている。品質低下は白未熟粒や胴割粒などの不完全粒が増えることによるものであり、検査等級が格下げされる。コメの産地間競争が激化する現在、この問題への早急な対応が求められている。
登熟期の高温によって白未熟粒や胴割粒が増えることは以前から知られていた。東北地方の高温感受性が高いとされるササニシキ、登熟初期が梅雨明けの盛夏に重なる関東・東海の早場米や北陸の早生品種、登熟後半ほど気温が高くなる暖地の早期水稲などでの白未熟粒発生、フェーン現象の生じやすい日本海沿岸や関東内陸部などでの胴割粒発生、これらは各地域で問題とされていた。しかし近年の被害粒発生、とくに白未熟粒は、生じにくいとされてきたコシヒカリなどの品種や地域の主力中生品種、普通期作などでも頻発しており、地域・規模ともに過去を上回っている。おりしも「地球温暖化」が取りざたされており、地球規模の温度上昇が基盤にあるのではないかとの指摘もある。確かに、高温年を中心とした品質低下は、登熟期の高温がその直接的引き金であろうが、実は背景には単純な温度条件だけではない様々な要因が複合的に作用していると考えられる。北陸地域を例に、被害発生に関わると推定される要因を含めてその背景を概観し、当面の技術的対策の方向を考察する。
(1章より抜粋)
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