農業を軸とした有機性資源の循環利用の展望

2,640 (税込)

生物系廃棄物を資源として利活用する試みと、有機性資源の循環利用の取り組みを例を挙げ解説。

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判型 A5判
第1版
ページ数 147
発行日 2000/12/25
ISBN-13 978-4-8425-0073-7 C3061
ISBN-10 4-8425-0073-5
JAN 1923061024002
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図書館: カーリル

目次

Ⅰ.有機性資源の循環利用の現状と課題(1.有機性資源の循環利用の現状と課題、2.食品産業における有機性資源の循環利用の諸問題、3.家畜排泄物の循環利用の現状と課題)
Ⅱ.農地還元から見た有機性資源の循環利用と課題(1.農業に関わる物質収支の実態と課題、2.農地還元から見た有機性資源の循環利用の課題)
Ⅲ.地域における有機性資源の循環利用の取り組み(1.家畜ふん堆肥と農地を結ぶ利用促進ネットワーク)
Ⅳ.循環型社会の実現に向けた指標の役割と処理システムの評価(1.循環型社会の実現に向けた達成度指標とその役割、2.資源循環型社会の実現に向けた廃棄物処理システムの評価手法)

説明

わが国の食料自給率が低迷しているのは、外国から大量に食料・飼料が輸入されるためである。この輸入食料・飼料に係わる有機性廃棄物から、環境容量を越えた窒素およびリンが水系に流出する環境負荷が大きな問題となっている。また、内分泌かく乱作用やダイオキシン類等の化学物質の環境影響が大きな社会問題となり、1999年「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立した。こうした環境負荷物質や負荷物質の発生源となる廃棄物の排出量の大幅な削減、および有機性廃棄物の循環利用の促進が緊急の課題になっている。 1999年に制定された「食料・農業・農村基本法」では、食料の安定供給や自然循環機能の維持増進による農業の持続的な発展がうたわれ、同年いわゆる農業環境3法が公布された。一方、1993年に制定された「環境基本法」では、それまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムから脱却し、21世紀に向けて環境倫理学的視点に立ち、廃棄物の発生量の抑制、循環利用、省資源を基調とした循環型社会経済システムへの転換が掲げられた。その後、2000年にはそれらの個別法令を束ねる「循環型社会形成推進基本法」が成立し、循環型社会の実現に向けた法的枠組みが整えられた。 有機性廃棄物の循環利用の課題と、これに対する法的枠組みのもとで生物系廃棄物を資源として利活用する必要がある。有機性資源から生産される堆肥は、土づくりの貴重な資材であるが、発生源により栄養成分が異なることや、品質等に関する課題がある。使用場面では、化学肥料と併用した総合的な養分管理技術の確立や、水系に環境基準を越えた硝酸態窒素が流出しない圃場管理および流域の窒素受容量の把握も重要である。また、有害元素が残留する恐れのある資材については、有害元素の含有量とそれらの資材を連用した場合の土壌集積の監視が必要である。  一方、有機性資源の堆肥としての農地還元への期待は大きいが、その限界を見極める必要がある。窒素循環の大きな障害の原因の一つである食料・飼料の大量輸入の是正には、飼料作物を含む作物の輪作により農地の利用効率を高めて食糧自給率の向上を図る施策が求められる。有機性資源の再利用に関して、新たな資源化技術の開発が望まれている。さらに、有機性資源の循環利用を促進させるには、発生源と利用および再生利用を繋ぐネットワークの開発・普及や有機性廃棄物の地域の特性を生かした資源循環利用の総合的な拠点作りが重要である。地域で発生する有機性資源を集めて、地域で総合的かつ効率的にこれを処理利用する資源化センターでの運営には、環境負荷の総合的評価(LCA)の導入が不可欠である。循環型社会への変革には、地域住民の意識・行動変革の重要性が認識されており、意識・行動の「指標」作りや循環型社会に関連する行政施策の適切な「評価」の開発も必要である。  以上のような背景をもとに、農業環境技術研究所では「循環型システムを目指した農業技術の現状と展望」のシンポジウムを開催し、本書はそれを基にまとめたものである。

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