説明
巻頭記事「機械加工における雰囲気が加工現象に及ぼす影響」
機械加工における現象には、複雑怪奇ゆえに解明されていない、もしくは誤解されているものもあり、筆者はその1つである前加工面における広い意味での雰囲気の影響に着目し、研究してきた。切削、研削、砥粒加工においては、レビンダー効果と多くの人が認識している現象もその1つである。
今後掲載の一連の拙稿は、上記の切削における現象を筆者は塗布効果と称しているが、この塗布効果について軟質金属切削で明らかになった発生条件やメカニズム、切削油剤の潤滑効果における塗布効果の割合、塗布効果発生の最小油膜厚さなどを解説する。
さらに難削材のステンレス鋼、チタン合金、インコネルにおける場合についても言及する。補足として、レビンダー効果(これに相反する効果も認識されている)などの環境が材料の機械的性質や機械加工に及ぼす影響の一連の研究結果を紹介する。これは、環境の影響を考察する際にレビンダー効果として説明している場合が散見されるが、実際に過去の環境の影響に関する研究結果を十分吟味しているか疑問な点もあるので、そのようなことが起こり得ないようにと記述する。
次いで、塗布効果とレビンダー効果とを区別するために、工業材料として通常よく使用される材料で、レビンダー効果が発生するか、引張試験やクリープ試験を実施したのでその結果を紹介する。最後に脆性材料のガラスについての結果も紹介する。
これらの拙文が機械加工における切削油剤の効果的な使用法の一助になれば幸いである。
岡山理科大学 工学部
機械システム工学科 名誉教授
金枝敏明
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