動物園動物のウェルフェア

Zoo Animal Welfare

5,500 (税込)

動物園のウェルフェアを行動学や心理学といった科学的知見から解説する。
今後の動物園の在り方を問う一冊。

在庫あり

判型 B5判
初版
ページ数 208
発行日 2020/08/21
ISBN-13 978-4-8425-0577-0 C3061
ISBN-10 4-8425-0577-x
JAN 1923061050007
図書館: カーリル
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目次

序文

1章 倫理の箱舟の構築

1.1 不死鳥の落下と飛翔
1.2 批評の論議
1.3 ウェルフェアへの倫理的責務
1.4 誰が動物園のウェルフェアをモニターするのか
1.5 良いから偉大なるウェルフェアへ
1.6 施設指導者の資質
1.7 保全とウェルフェア

2章 ウェルフェアの定義

2.1 ウェルフェアの領域
2.2 ウェルフェアの焦点を明確にする
2.3 ウェルフェアの影響
2.4 類似性の適切な同定
2.5 種ごとの適切なウェルフェアの計測
2.6 複数計測の必要性

3章 ウェルフェアの測定基準の適用

3.1 嗜好性と動機付けテスト
3.2 行動パターン
3.3 自然な行動
3.4 認知バイアス評価
3.5 常同行動
3.6 生理学的計測
3.7 研究調査構想
3.8 データ収集
3.9 計測データの分析

4章 ウェルフェアとしての健康

4.1 健康とウェルフェアの違い
4.2 健康の実践
4.3 大型動物の管理
4.4 健康の統合
4.5 健康のブランド化
4.6 専門的健康センター
4.7 サンフランシスコの新健康構想
4.8 教えと支援

5章 心理学とウェルフェア

5.1 動物園の心理学者
5.2 ウェルフェアのための動物行動学的基準
5.3 ゾウのウェルフェア
5.4 霊長類の心理学
5.5 自律性、コントロール、力
5.6 社会的構造
5.7 個性とウェルフェア
5.8 動物園における精神病理学
5.9 行動を基本とするデザイン

6章 環境エンリッチメント

6.1 エンリッチメントの数々のタイプ
6.2 エンリッチメントに関する問題
6.3 実行と評価

7章 行動分析とトレーニング

7.1 指導者とパートナー
7.2 学識経験者と指導者
7.3 実行と行動管理
7.4 オークランド動物園における行動とウェルフェア
7.5 動物園職場での行動分析学者

8章 ウェルフェアをデザインする

8.1 フィールド生態学と動物園デザイン
8.2 動物園デザインにおける垂直性
8.3 活動を基本としたデザイン
8.4 動物と展示施設のローテーション
8.5 デザインを大きくすると豊かな生活になる
8.6 励みになる建設的な批判
8.7 サイとカバのための大きな施設の考え方
8.8 模倣と複製
8.9 束縛のない自然な行動
8.10 専門家と意見が合わない場合

9章 倫理の箱舟の船出

9.1 継続可能な科学とウェルフェア
9.2 真ん中にいる指導者
9.3 一風変わった恋人たち
9.4 「変わらなければ!」ガンジー
9.5 最高のケアによる保全
9.6 生活の質の比較
9.7 未来への船出

文献

索引

説明

到津の森公園の園長が翻訳者となって、
日本の『動物園動物の生き方』に一石を投じる。

現在、世界中で議論されているアニマルウェルフェア
について、コンパニオンアニマルや家畜といった、生活に
密接した動物に関する法の整備は着々と進められている。

一方、動物園動物は本当に『よい生き方』をしているのか、
第三者を説得できる科学的知見が不足している。

本書はウェルフェアの定義から、データの収集と分析の仕方、
健康とウェルフェアの違い、動物の心理学、環境エンリッチメント、
行動分析そして動物園のデザインといった、一歩先行くアメリカの事例を紹介する。

動物園関係者はもちろんのこと、動物園に興味のある人にも是非知ってもらいたい。

岩野俊郎/「到津の森公園」園長(訳者)より

日本では動物園の動物に対するウェルフェアの取組みが
遅れているように思われる。この本は2015年にアメリカで
出版されたものだが、日本語の類書はない。

日本の動物園は海外の動物園と伍することはできるのだろうか。

さまざまな観点から動物園のあり方を論じるこの本は、
日本の動物園の世界に一石を投じることになるであろう。

動物のあり方を自らの感情論で語るのでは
なく、科学的証拠をこの本は提供してくれる。
動物園を批判する人も、擁護する人も等しく
読んで欲しいと思う。

この本は解決策を示したのではない。
次のステップを踏むための第一歩である。

成島悦雄(日本動物園水族館協会専務理事)推薦文

動物園や水族館で飼育される動物の福祉を向上させるために
生物学、動物心理学、獣医学など関連分野を取り入れて現代の動物園が
到達すべき基準を示した「動物園動物のウェルフェア」が刊行された。

長年にわたって動物園生物学の発展に貢献してきた
メイプル博士とパデュー博士の共著である本書が
動物園動物の福祉向上に日夜取り組んでいる
岩野俊郎氏(到津の森公園園長)の翻訳を得て、
手軽に動物園動物の福祉の最先端を
学べるようになったことを喜びたい。

動物が暮らしやすく、
来園者が充実した時間を過ごせ、
ひいては希少種保全にも役立つ手法が
わかりやすく説明されており、
動物園と動物園動物に関心のある
すべての方にお勧めする。

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