水素 ―将来のエネルギーを目指して

5,280 (税込)

本書は、「これから水素をガソリンや化石燃料の代わりに用いるためにはどのような課題を解決していかなければならないのか?」「水素は、本当に安全でクリーンなエネルギーなのか?」「化石燃料亡き後の石油化学工業に変わる炭化水素化学に水素の貢献は期待出来るのか?」等の疑問への答えを出すにあたって少しでも寄与出来るよう水素の全体像を将来エネルギーの視点で詳述。

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判型 A5判
第1版
ページ数 310
発行日 2006/04/12
ISBN-13 978-4-8425-0381-3 C3053
ISBN-10 4-8425-0381-5
JAN 1923053048005
図書館: カーリル
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目次

第1編
第1章 人類の歴史とエネルギー(1.はじめに:2.人類の歴史におけるエネルギー:3.供給一次エネルギーの将来的展望:4.エネルギー源としての水素の利用:5.まとめ)
第2章 宇宙・地球における水素(1.はじめに―宇宙における水素の存在度―:2.微視的にみた水素の構造:3.宇宙における水素の創成―ビッグバン元素合成と水素原子の誕生―:4.星の燃料としての水素:5.地球に取り込まれた水素:6.おわりに:文献リスト)
第3章 微生物と水素(1.水素循環と土壌:2.土壌による水素酸化の実体は水素酸化酵素(ヒドロゲナーゼ)をもつ放線菌:3.微生物の水素酸化酵素とはどのような酵素:4.微生物による水素生成:5.水素生産微生物の開発研究:6.腸内細菌と水素:7.水素エコノミーにおける水素漏出と抑制)
第4章 水素のエンジニアリング(1.水素製造から消費に至る流れ:2.コンビナートを中心とした水素導入のシナリオ:3.日本の水素社会:文献リスト)
第5章 水素の製造と取扱い(1.はじめに:2.水素の用途:3.現在の水素製造方法:4.エネルギー転換期の水素製造方法:5.水素エネルギー社会における水素製造方法:6.水素の取扱い:7.おわりに:文献リスト)
第6章 水素貯蔵と水素透過(1.水素の貯蔵形態:2.金属水素化物による水素貯蔵と圧力組成等温線:3.無機系液体貯蔵材料:4.有機系化合物による水素の貯蔵と移送:5.水素の金属膜透過:6.原子炉を用いた水素製造:7.熱移動と水素物質移動の解析と実験:文献リスト)
第7章 燃料電池に関わる水素(1.総論(燃料電池への水素供給):2.各論(燃料電池における諸現象と最適化への課題):文献リスト)
第8章 水素内燃機関に関わる水素(1.はじめに:2.水素燃料:3.水素エンジン自動車:4.発電用水素内燃機関:5.最後に:文献リスト)
第9章 宇宙ロケットに関わる水素(1.はじめに:2.ロケット推進の基礎:3.化学推進:4.非化学推進:5.原子力推進:6.電気推進:7.推進システム性能比較:8.まとめ:文献リスト)
第2編
第10章 太陽電池に関わる水素(1.アモルファスシリコン系薄膜太陽電池の課題:2.水素-シリコン表面反応:文献リスト)
第11章 材料中の水素-水素の溶解・捕獲・拡散・透過-(1.はじめに:2.水素と他の元素との相互作用:3.材料中の水素の検出:4.金属中への水素の蓄積および吸放出:5.金属(Fe、Cr、Ni)-水素-酸素の熱力学:6.金属中への水素溶解・捕獲・拡散・再結合・透過の速度論:7.Fe、Ni、Fe-Ni合金系での水素の拡散・透過:8.ステンレス鋼:9.水素捕獲座:10.非平衡状態での材料と水素:11.共有結合性、イオン性材料への水素の溶解:12.おわりに:文献リスト)
第12章 核融合炉における水素(1.核融合炉トリチウムの課題:2.炉心プラズマ:文献リスト)
第13章 水素同位体分離(1.はじめに:2.蒸留法:3.同位体交換法:4.熱拡散法:5.金属水素化物による水素同位体分離:文献リスト)
索引

説明

使い勝手のよい化石燃料の大量消費や使用済み石油化学製品の大量廃棄によって炭酸ガスの増加による地球の温暖化、海の汚染、河川の汚染、酸性雨による環境変化など多くの環境問題が顕在化しつつあるといわれている。さらには最近のエネルギー消費の急増が埋蔵化石燃料資源枯渇の時期を早めているともみられている。それにもかかわらずわが国を含めて世界中の国々のエネルギー需要は増す一方で、埋蔵エネルギー資源やエネルギー供給に起因する国際紛争もその数が最近増えつつある。

これらの解決策として水素エネルギーの利用が有効であると言われており、“地球に優しい燃料電池”の開発が世界中の支持を得ているように思われ、多くの国が水素エネルギーについての研究を積極的に進めようとしている。

平成17年12月8日の全国紙にも次のような記事が載せられていた。

“水素は枯渇が予想されるガソリンなどの化石燃料に代わるほか、水以外に排出物を出さないクリーンなエネルギーとしても注目される。”

水素は宇宙の元素の9割以上を占め、水を通じて私たちに昔からなじみのある物質であるが、これについて平易に紹介した書物が意外にも見当たらない。

九州大学では多くの学問的側面から水素を研究するために水素エネルギーリサーチコアを設置して研究活動を続けてきたが、水素エネルギーについての研究の促進への要請が高まりつつあるこの期を捕らえ、関係者がそれぞれの学問を背景にして水素の全体像をつかむために成書をつくろうとの提案がなされ曲がりなりにもここに形をなす運びとなった。

この本では、前半で最近の水素エネルギーに関するトピックス的内容についての解説集としての性格を持たせた。後半では少し専門の立場から水素の基本的挙動についての入門的解説を心がけてもらった。

これから水素をガソリンや化石燃料の代わりに用いるためにはどのような課題を解決していかなければならないのか?水素は本当に安全でクリーンなエネルギーなのか?化石燃料亡き後の石油化学工業に変わる炭化水素化学に水素の貢献は期待できるのか?等の疑問への答えを出すにあたって少しでも寄与できることを願っている。

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