説明
日本酒には、ワイン、ビールと並んで世界の酒になりうる素質がある。そのための新機軸は、結局は日本の風土の産物である心白米と、清冽な水と、微生物を扱う杜氏の技、この三つの原点を究めることから生れる。
そこで、最新の酒米品種から最先端の酒造技術まで、オールジャパンの現場研究者を総動員した最先端技術書をまとめた。
日本酒が自らの持てる特徴を存分に発揮すれば、世界の酒のなかで、他に類をみない独自の領域を確保できると確信する。
日本人の飲酒行動は高級化、健康志向、女性の飲み手参加など多様化してきたなかで、伝統的酒造りを守り固執するのみでなく、社会動向から派生するあらゆる革新要素を、積極的に、幅広く、柔軟に取り込む視点が必要である。今後、経営規模の大小を問わず特徴ある酒は必ず生き残れる、その企業戦略をいかに立てるか。
序論は、世界の酒の特徴を技術的客観的視点から論じ、今後、日本酒が取り込み、発展すべき道筋についての指針を与えた。
第1章は、伝統産地県の栽培技術のノウハウ。地方の伝承品種は土地に着き、そして人に着き、地酒を生んだ。
その地酒造りが、今や生まれ変わろうとしている。全国各県が独自の品種開発を行う競争時代に入ったのである。それが第2章である。
第3章では、日進月歩している酒造技術の先端研究。
第4章では、酒米の生産から流通、そして酒造業の企業戦略の厳しい内実。
終章は日本の杜氏論!伝統技術の日本酒造りを究めるには、最新技術論だけではうまく収まらない。造ったり、飲んだりする人の心が欠けている。米や水や、技の技術論のあとへ醸し出す人の厳しい人間論や、飲む人の心豊かな文化論を、日本酒の強い味方、佐々木久子女史の明快な論調でしめて貰った。
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