目次
展望・総説・総論
分離型解法による流体構造連成のシミュレーション
北海道大学 大学院工学研究院 准教授
高橋裕介
原子力プラントの放射性物質保持バウンダリを構成する鏡板およびベローズの機能限界強度評価
元 国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 上級研究主席
元 福井大学 客員教授
月森和之
座屈解析へのスペックル干渉変形計測技術の適用(2)
実験条件の検討
津田塾大学 数学・計算機科学研究所 特任研究員
新井泰彦
複合材料の力学入門(18)
拓殖大学 名誉教授
笠野英秋
連載講座
カルマンフィルタとその周辺および応用(34)
非線形カルマンフィルタ(7)―ガウス型カルマンフィルタ(GKF)
立命館大学理工学部 名誉教授
杉本末雄
岡山大学 大学院環境生命自然科学研究科 非常勤研究員
和田光代
生体機械工学(23)
生理液体移動制御―シャントの落差
工学院大学 工学部 機械工学科 名誉教授
橋本成広
特別講座:機械系大学院入試問題演習
(64)「機械力学:神戸大学2024年夏季実施より」
神奈川大学 名誉教授
伊藤勝悦
一杯のコーヒーから(218)
玩具とおもちゃ―夢を実現する機械
元 Consulting Prof., Stanford Univ
慶應義塾大学 (顧問)
福田収一
歴史に学ぶ「機械の研究」
第9巻 第11号 「バイトの摩耗」 より
編集部
工学・工業界ニュース
説明
巻頭記事
分離型解法による流体構造連成のシミュレーション
機械工学や航空宇宙工学において流体構造連成(Fluid–StructureInteraction:FSI)は広く関心のもたれる課題の1つである。流体中におかれた構造に流体力が作用するとき、その構造が弾性変形をし、それにあわせて構造近傍の流体挙動にフィードバックする、という密接な連成挙動は、実利用においてときに大きな問題となる。たとえば、遷音速領域における翼型のフラッターは代表的なFSI課題の1つであるし、パラシュート展開とその空力減速挙動、織物で構成される柔軟エアロシェルにおけるFSIの役割は大きい。このような背景において、FSIの予測・評価手法の確立が望まれる状況である。
風洞はFSIの評価においても重要な装置であるが、気流の制限や支持装置などの存在により、適切な条件策定や実施が困難になる場合がある。また、流体と構造のスケール則をどのような取り扱うべきかも頭を悩ませる問題である。数値シミュレーションはこの点において制限が取り払われ、研究開発上の一定の役割も期待されている。しかし、物理モデル・解析モデルに起因する誤差や計算資源をどうするか、などの課題も無視することはできない。
Turek-Hronらによってなされた流体中の弾性フラップ挙動は、基本的なFSI解析モデルのベンチマークとして広く取り組まれている。低速領域や遷音速領域におけるデルタ翼リミットサイクル挙動なども数値解析によって調べられる課題である。そのほか、展開型空力減速機の柔軟エアロシェルと大気突入気流の相互作用について数値解析的手法を用いて明らかにした例や、パネルフラッターの不安定モードの挙動とリミットサイクルの数値解析例も具体的なFSI課題である。
近年では、オープンソースソフトウェア(OSS)を用いたFSIシミュレーションも実行可能になりつつある。本稿ではOSSによるFSIシミュレーションについて簡単に紹介する。FSIの対象としては広くベンチマークとして用いられているTurek-Hron FSIケースを採用した。
北海道大学 大学院工学研究院 准教授
高橋裕介
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