畜産の研究 2019年12月1日発売 第73巻 第12号

戦後、日本の畜産は先進国に一刻も早く追いつこうと、暗中模索のうちに数多くの研究が行われていました。そのような背景のもとで、昭和22年に姉妹誌である「農業および園芸」から、注目を浴び始めた畜産分野を独立させたのが本誌です。本誌は畜産研究関係者の中でも、試験研究所・大学先進農家に主な読者層を有し、研究要報や農家の経営事例をはじめとし、さまざまな情報を提供し続けています。

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判型 B5判
発行日 2019/12/01
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目次

世界と日本のアニマルウェルフェア畜産ビジネスの新展開(2)
―養豚産業におけるAW食品ビジネスとイノベーション―
第7回 日本におけるアニマルウェルフェア豚肉の現状と課題
―放牧豚・低密度肥育豚・抗菌性物質不使用豚の事例―
(麻布大学)大木 茂

酪農科学講座 その18.乳牛の飼養頭数に影響を及ぼす8つの要因
(畜産飼料調査所主宰)阿部 亮

日本における水稲の飼料利用の状況把握とその特徴①
-概念の整理と統計データ整理上の注意点-
(一般財団法人農政調査委員会調査研究部)小川真如

獣医学徒が抱く漠なる将来像-非典型的な動物の医療に関わる就業-とその具体化
(酪農学園大学獣医学群獣医保健看護学類)浅川満彦

実践飼料学の失敗と成功(50)―品質管理半世紀の軌跡から―
(本澤技術士事務所,飼料・ペットフードコンサルタント)本澤清治

飼料学(177)―牧草(3)暖地型牧草―
(元東京農業大学)佐藤光夫
(東京農業大学)祐森誠司
((一社)日本科学飼料協会)石橋 晃

受精卵移植〜家畜生産から生殖補助医療まで(2)
(元農林水産省畜産試験場・近畿大学名誉教授)角田幸雄

ジンギスカンの名付け親「駒井徳三」説は本当か(1)
(滝川市郷土研究会副会長,元滝川畜産試験場研究員)高石啓一

Dr. Ossyの畜産・知ったかぶり(102)
(麻布大学名誉教授)押田敏雄
(麻布大学名誉教授)猪股智夫
(東京農業大学)祐森誠司

第111回日本養豚学会大会開催報告
(日本養豚学会会長(東京農業大学農学部))祐森誠司
(日本養豚学会副会長)美川 智
(日本養豚学会監事(麻布大学名誉教授))押田敏雄

アフリカ豚コレラ(ASF) 朝鮮半島を征服
(獣医師:Texas A&M., P.h.D.)小野嘉隆

糖質制限から見えるこれからの食と健康および農牧業技術協力(その15)
―糖質制限を化学する:糖新生(2)―
((株)宏大,エクアドル リトラル工科大学)冨田健太郎

BSE再考・補追3-海綿状脳症の発生機序-
(元農水省 福島種畜牧場長)長岡正二

総目次

説明

巻頭記事「世界と日本のアニマルウェルフェア」

「アニマルウェルフェアに配慮した豚肉生産」を日本でどのように捉えるか?

本稿の目的は、EUやアメリカ,オセアニアだけでなく韓国・台湾・中国でも産業動物のアニマルウェルフェア(Animal Welfare:AW)の関心が高まる中で、日本の消費者組織等で取り扱われている特徴的な豚肉商品の整理を通じて、日本のAW豚肉の方向性を検討することである。

そこでまず,EUで2013年から禁止されている繁殖雌豚のストール飼育をめぐるOIEコード(規則)を紹介し、日本の飼養管理指針の考え方、アンケートによる経営実態を概観する。次に日本と対比するためにAW飼育方法を紹介し、例として英国豚肉生産の特長を紹介する。

日本では繁殖雌豚ストールなどの意識が異なることをふまえて、AW豚肉商品を5種類に分類した。放牧豚、低密度肥育豚、抗菌性物質不使用豚、群飼育繁殖豚由来肥育豚、有機豚である。ただし群飼育繁殖豚由来肥育豚は,EU式繁殖豚群飼システム導入企業が数例とみられること、有機豚は2016年度に有機畜産物として格付けされた豚は0.3tと、数頭分であることから、検討から外し3タイプの特徴を示した、最後にまとめとしてAW豚肉の現段階的特徴と課題を考察した。

結論を述べれば、日本の消費者組織等が取り扱ってきた特徴的商品は,自然条件・食習慣・畜産の歴史が異なるため、OIEでの議論やEUでの規制内容と必ずしも合致しないが、日本のAW豚肉商品として高く評価でき、さらなる発展も期待できることが明らかとなった。

(麻布大学)大木 茂

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