規制科学・規制工学概論

3,740 (税込)

本書は、科学・工学・技術と、社会・経済・司法・立法・行政などとの関係を、より合理的に人々を納得させる上で、望ましいとの考えからまとめられたものである。

在庫あり

判型 A5判
第1版
ページ数 198
発行日 2017/06/01
ISBN-13 978-4-8425-0560-2 C3053
ISBN-10 4-8425-0560-5
JAN 1923053034008
図書館: カーリル
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目次

第1章 序  論
第2章 規制科学(Regulatory Science, RS)
 規制工学(Regulatory Engineering, RE)とは何か?
第3章 ピアレビュー概論
第4章 利用可能な最上の科学(BestAvailable Science, BAS)とその適用
第5章 BASに基づいた国の決定
 国際決定および規制科学/規制工学者の視点
第6章 むすび
 あとがき
 参考文献
 インデックス

説明

近年、日本においても、規制改革が叫ばれ、種々の分野においてその必要性が高まっている.
第1章や第6章でも示すように、今後検討すべきリニア新幹線に関わる問題から、2015年に浮上したドローン(無人小型偵察機)の問題、古くからの原子力や医療に関わる問題に至るまで、対象とする問題や課題は多岐に渡る.例えば、原子力発電所の建設や運転再開にあたっては、活断層の有無、放射性物質による発癌性やその他の健康被害などの問題が、一部の立法・司法関係者などによって、あまりにも決定論的に扱われ、関係者を追い詰めた結果、問題がこじれた事例があった.さらに、地震の短期および長期予測、地震関連インフラ整備計画、二次災害とその対策および予防、ならびに、これらに関わる種々の問題や課題においても、減災性/脆弱性(Vulnerability,V)、不確か性(Uncertainty,U)、確率性(Probabilty,P)、(これら三つをまとめてVUPと称する)があり、適切な確率密度関数の使別による定量化(Quantification)などの工学的アプローチが必要である.
その他の人工構造物や機械、例えば、発電用ボイラー、自動車用安全装置、土木・建築構造物、シェールガス・シェールオイルを含む石油・天然ガス資源の開発と生産、太陽光・風力・潮力・波力などを利用して発電を行う海洋構造物、ソフトウェア、システムなど、数多くの問題についても同様である.このような問題、課題、事件などの解決のために、科学情報(Scientific Information、SI), 工学情報(Engineering Informatio、EI)、技術情報(Tecnological(Technical)Information、Tl)、まとめて科学・工学・技術情報(Scientific、Engineering and Tecnological (Technical) Information、SETI)を利活用することは必須である.
もしこれらの情報や、既存の科学法則,規格・標準などで、 問題などに対応できない場合には、その解明のために必要な完験、理論的検討、数値解析、シミュレーション、当面の実践的対策と課題、規制改革を行うべき分野の現状と課題の同定などを行う事が肝要である.

本書ではこれらを鑑み、以上の構成で論じ、解説を加えた.
第1章 序論においては、近年、注視されている規制の問題について触れ、そのために、利用可能な最上の科学(Best Available Science, BAS)およびBASに基づいた科学クレームの評価(のための)メトリックス(Metrics for Evaluation of Scientific Claims)などが、いかなる役割を果たし得るのかについて論じた.さらに、科学、工学、技術の概観と進歩、これらの規制との関係、科学者(Scientist)、エンジニア(Engineer)および技術者(Tchnologist)の能力、各種資格および職務などについて論じ、司法界関係者の職務との比較対照を行った.
第2章 規制科学(Regulatory Science)、規制工学(Regulatory Engineering)とは何か?においては、規制科学と規制工学の歴史的背景や定義について論じた.その上で、規制科学と規制工学のそれぞれを構成する主要な部門を選び、これらの概要と動向について簡潔にまとめた.さらに、これらの部門で用いられるツールを紹介し、科学者とエンジニアリング・プロフェッションの役割などについて論じた. 第3章 ピアレビュー概論においては、当該分野の有識者による査読を意味するピアレビューの要素、その歴史、さらに、Matthew効果とその適用、Ruckelshaus効果とその適用、ピアレビューに対する反論を含むピアレビュープロセスの進歩について論じた.
第4章 利用可能な最上の科学とその適用においては、 BASの分類、BAS概念の進歩、科学・工学・技術査定、BAS対利用可能な最上の情報(BAI)、BASの適用、予測モデルと相関の査定、 BASの倫理的要求、様々な分野へのBAS概念の適用、さらにニュースメディアへのBAS概念の適用について論じた.
第5章 BASに基づいた国の決定、国際的決定および規制科学/工学者の視点においては、その目的や意義について論じ、米国の連邦議会や最高裁判所の事例、さらに、日本における幾つかの事例、地球環境問題における国際決定の事例を紹介し、これらについて論じた.
第6章 むすびにおいては、著者らの活動を通して得られた規制科学や規制工学のトピックスの広がりおよび視点、今後の展望などについて論じ、あとがきにおいては、BASの要点をまとめ、本書にまつわる話題や課題を補足した.
なお,読者によっては、章順にこだわらず、理解しやすい章から読みはじめて頂いて差支えない.また、英語と円本語の間には、言葉の意味合いや意味の広がりに違いがあることが多いので、本書では、留学志望の人や、英語の文献を読みたい人のために、出来る限り和英表記を心掛けた.さらに巻末に、補追(Appendix)Ⅰ,Ⅱとして、規制科学/規制工学用語一覧(和英、英和)と、規制科学/規制工学略号一覧を設け、インデックスも和英としたので、大いに活用していただきたい.

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