TPP時代の稲作経営革新とスマート農業 ―営農技術パッケージとICT活用―

3,850 (税込)

ICT活用を含めた次世代の営農技術パッケージの研究開発の成果をまとめた。

在庫あり

判型 A5判
第1版
ページ数 283
発行日 2016/02/24
ISBN-13 978-4-8425-0542-8 C3061
ISBN-10 4-8425-0542-7
JAN 1923061035004
図書館: カーリル
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目次

まえがき

第1章 大規模稲作経営革新と技術パッケージ
 ―ICT・生産技術・経営技術の融合―

第Ⅰ部 大規模稲作経営の戦略と革新
 第2章 大規模稲作経営の経営戦略と革新
 第3章 近畿地域150ha稲作経営の戦略と革新
  ―フクハラファームを事例として―
 第4章 関東地域100ha稲作経営の戦略と革新
  ―横田農場を事例として―
 第5章 北陸地域30ha稲作経営の戦略と革新
  ―ぶった農産を事例として―
 第6章 九州地域30ha稲作経営の戦略と革新
  ―AGLを事例として―

第Ⅱ部 大規模稲作経営における栽培技術と生産管理技術の革新
 第7章 稲作栽培技術の革新方向
 第8章 省力化・低コスト稲作技術
 第9章 営農可視化システムFVSによる生産管理技術の革新
 第10章 IT農機による生産管理技術の革新

第Ⅲ部 農業経営におけるICT活用とTPP対応戦略
 第11章 農業経営におけるICT活用の費用対効果
  ―全国アンケート調査分析―
 第12章 農業経営に対するTPPの影響と対応策
  ―全国アンケート調査分析―

索 引

説明

わが国の農業は,大きな環境変化に直面している.気候変動,人口減少,農産物貿易自由化等の自然・社会・経済のあらゆる面で農業を取り巻く外部環境が大きく変わろうとしている.また,農業の内部環境にも農家の減少,農業就業者の高齢化,農業法人経営の増加といった趨勢的変化が見られる.こうした環境変化に対処するには,従来の発想にとらわれず新たなビジョンを構築し,その実現を目指して農業を革新する実行力が求められている.その原動力となるのは,言うまでもなく志と実行力を持った人材である.このような書き出しのまえがきを,拙共編著『農業革新と人材育成システム』(農林統計出版)に記してから2年が経過し,その続編ともいえる本書をここに刊行することとなった.

わが国の農業経営は,経営の経済規模や経営者能力からみれば主要先進国に比肩しうる水準にあるが,さらなる経営革新のためには人材育成が今後益々重要になるとの思いが上記の拙共編著の背景にあった.それを受け,ICT活用を含めた次世代の農業技術の研究開発に,いまやわが国の農業経営者も主体的に参画すべき時代が来ており,実際に彼らはそれが十分に可能な能力と経験を有しているというのが,本書の根底にあるメッセージである.

本書では,TPP大筋合意をうけて,社会的にも政策的にも注目されている稲作経営に焦点をあて,わが国を代表するといっても過言ではない4人の農業経営者が共同研究者として参画した研究プロジェクトのビジョンと成果を紹介している.従来,国産農産物の国際競争力や貿易自由化・関税化への対応策は,農業政策や貿易政策の面から議論されることが多く,また,農業技術についても国公立農業研究機関が主導して研究開発を行うことが多かった.しかし,製品やサービスの生産技術の研究開発,国際競争力の向上・貿易自由化・関税化への対応策は,本来,経営者が主体的に考えるべき重要な経営課題でもある.

そこで,本書では,農業技術を実際に使用する農業経営者が,主体的にICT活用を含めた次世代の営農技術パッケージの研究開発現地実証を行い,その効果を検討した研究成果を中心に据えている.具体的には,わが国の米の生産コストを4割削減するという政府の政策目標を実現できる稲作経営技術パッケージの内容を明らかにしている.また,次世代の農業生産管理・経営管理の鍵の一つとなるICT活用の具体的方向も明らかにしている.

本書は,農匠ナビ1000(次世代大規模稲作経営革新研究会)研究コンソーシアムが実施した「農業生産法人が実証するスマート水田農業モデル-IT農機・圃場センサ・営農可視化・技能継承システムを融合した革新的大規模稲作営農技術体系の開発実証-」研究プロジェクト(略称:農匠ナビ1000,研究代表者:南石晃明)の研究成果に主に基づいている.研究は現在も進行しているが,成果を速やかに社会還元したいとの思いから,本書の刊行を行うこととした.このため,研究途中の暫定的な内容を含んでいることをご理解頂きたい.

本書が,経営革新の意欲がある全国の多くの稲作経営者の参考になり,地域農業ひいてはわが国の農業の革新に多少なりとも貢献できれば,執筆者一同,これに勝る喜びはない.今後は,関係機関と連携し,研究成果の実用化を推進し,全国の多くの稲作経営者にご利用頂ける体制構築を進める予定である.

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