説明
農学では、遺伝資源である作物の知識に加え、実際に作物を生産する農地を正しく理解することがとても大切である。わが国では農地の排水に対する農家の要望は依然として非常に大きく、世界的に見れば灌漑に対する需要が多い。排水や灌漑は土中の水の保持と移動がその基本にある。これをさらに広げて、ガス、溶質といった物質と土の温熱のようなエネルギーの貯留と移動を加えて土を見ると、土が作物生産のみならず、環境の保全など多くの機能を持ち、物質循環に重要な役割を果たしていることが理解できる。
第1~第5章では、水、ガス、温度、溶質の貯留と移動のメカニズムの基本を解説し、6章で物質収支の大切さを指摘。
第7~第10章では、水田、畑といった農地レベルの貯留と移動の問題を取り上げ, 第11章では土と環境問題について取り上げた。
最終章の12章では、ここまでの章とは別の視点で、人が生きていくために必要な農地面積、水の量、エネルギー消費量を取り上げた。
本書の内容は大学生レベルならば誰でも理解できるように、難しい概念や数学、物理を使わないで執筆した。したがって、農業問題や環境問題に興味を持っている一般の人、義務教育の授業の一環として土を教えようとしている教員にとっても参考になると思われる.また、家庭菜園を楽しむ人にとっては身近な土が持つ様々な機能を知ることで、作物栽培の楽しさが増すだろう。
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