小説 FUKUSHIMA

1,760 (税込)

小説だから書けることがある。熱工学者である著者が、公表されたデータをもとに真実に迫る。錯覚するまでにリアルな原発の壊れゆく姿と、それを阻止しようと懸命に活動する原発職員を描くドキュメンタリー・フィクション。

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著者:
判型 A5判
第1版
ページ数 264
発行日 2012/09/01
ISBN-13 978-4-8425-0504-6 C93
ISBN-10 4-8425-0504-4
JAN 1920093016001
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説明

 2011年3月11日に起こった福島第一原子力発電所の事故以来、筆者は原子炉の中で起こっている現象を推定する熱流動解析と原発事故の早期収束に向けた提言を行うとともに、多くの論文を発表してきた。
 筆者は、事故当初より東京電力の発表より先に炉心の破壊を予測し、格納容器の破壊面積の推定や水位計が正しく表示されていないことを指摘している。2号機の格納容器の水位が低いことや、2号機サプレッションチャンバー(圧力抑制室)の破壊状況など、最近明らかとなった観測結果も筆者の当時の推定を裏づけるものが多い。そのことは、筆者が7月23日、テレビ朝日の「報道ステーション」にインタビュー出演した際にも述べられている。
 しかし、筆者がこれまで発表してきた解析や提言は、専門用語が多用された純粋な科学・技術レポートなので、一般の読者にはわかりにくい。そこで、福島原発事故を題材にした「小説」を執筆することにより、事故の経緯や原発で起こった物理現象を中学生でも理解できるようにと試みた。東電のデータを元に多くの大胆な仮説を設けながら、ストーリーの展開上、一部の事象は現実に起こったものと異なっているが、現実の日時と並行して記述されているため、既視感を伴う作品に仕上がっている。
 物語は、『絶対安全』な原発として、核分裂反応は『絶対』に物理法則に従うため制御し得るもの―という安全神話から始まる。だが、そこには非常時における人間の対応が『絶対』ではないことを想定していなかった。メルトダウンか?という火急の事態においても企業や国は責任転嫁合戦を繰り広げ、原発が生み出す金という名の欲望がさらに正常で迅速な判断を鈍らせた。危機的状況が人為的に次々と作り出されていく中、核分裂は人間の思惑に一切とらわれず、自然の摂理に従い粛々と崩壊を続ける。その冷徹なさまを著者は何度も「悪魔」と表現している。原発職員が死と隣り合わせの現場で策尽き、心折れながらも互いに励ましあい、家族、仲間、そして国民のためにと、最後の知恵と勇気を振り絞り被害を最小に食い止めるため、退避をあきらめ残留の道を選択するのであった。

目次

第一部 1号機爆発
(東日本大震災の日、地震発生、津波発生、全交流電源喪失、1号機破壊、1号機爆発)
第二部 破壊の連鎖
(2011年3月11日のプロローグ、真夜中にやってきた男、海水注入、3号機爆発、2号機破壊)
第三部 それから
(2011年3月16日からの出来事、冷温停止状態宣言、2014年10月11日仙台にて)

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