説明
医学物理学の発祥は、放射線による人体の診断や治療が広まるにつれて、放射線の知識が医学の発展の中で必要になってきたことにある。コンピュータ断層撮影(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)、PET(Positron Emission Tomography)などは、物理学の発展がなくしては発明されなかったもので、医学への貢献は言うまでもなく多大なものがある。
一言で医学物理学を正確に定義しようとすると「物理工学の知識・成果を医学に応用・活用する学術分野である」となるが、具体的なイメージに乏しく聞こえるかもしれない。より具体的に医学物理学を説明すると、大きく分けて次の三つの項目に関する学問であると言える。
1) より鮮明により小さな対象を画像化したい、また、最近では人体の機能を画像化して正確な診断を達成したいという要求に答える人体の画像に関する学問。
2) 放射線や温熱を利用して、効果的にがんを消滅させ副作用を無くす治療を達成したいということに物理的に貢献する学問。
3) また、医学的に利用される放射線の害を最小限に抑えるための学問。
CT装置やMRI、PET装置、光子線・粒子線治療装置の高精度化の研究・開発は医学物理学そのものといえる。装置自身の開発から、装置の利用法に関する考察、臨床での診断や治療結果に関する論理的な評価など、医学物理のスペクトルは非常に広いといえる。
本書は、先端的な放射線治療装置を数多く紹介した内容に重点が置かれており、病院に勤務する医学物理士、メーカーにおいて医療装置の開発を主体に目指す若手にとっても、非常に参考になるものである。
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