水素脆化メカニズムと水素機器強度設計の考え方

22,000 (税込)

(独) 新エネルギー・産業技術総合開発機構 NEDO事業「水素先端科学基礎研究事業」 (2006~2012年) のもと、九州大学 伊都キャンパスに設立された (独) 産業技術総合研究所 水素材料先端科学研究センター (HYDROGENIUS)の研究成果に基づいて、水素エネルギーシステムに必要となる水素の製造、貯蔵、輸送に関わる機器の設計や製造への指針を示している。

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判型 B5判
第1版
ページ数 362
発行日 2012/01/27
ISBN-13 978-4-8425-0491-9 C3053
ISBN-10 4-8425-0491-9
JAN 1923053200007
図書館: カーリル
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目次

第1章 水素脆化のメカニズムと強度設計の考え方
1.1 材料強度に及ぼす水素の影響に関する従来の研究
1.2 従来の研究の分類
1.3 ミクロな観察に基づいた水素脆化のメカニズムの考え方
1.4 疲労き裂進展特性を理解しなければ正しい疲労強度設計はできない
1.5 水素脆化を利用した非金属介在物検査法と材料の品質管理
第2章 ステンレス鋼における水素侵入特性と拡散特性
2.1 ステンレス鋼への水素侵入特性の決定方法
2.2 水素侵入特性と拡散特性
2.3 高圧水素ガス雰囲気に曝露したステンレス鋼の水素侵入特性と飽和水素量
2.4 水素マイクロプリント法による疲労き裂周辺における水素放出
2.5 SIMS による水素可視化測定
2.6 トリチウムオートラジオグラフィーによる水素の可視化
2.7 まとめと水素濃度分布測定への指針
第3章 ステンレス鋼における疲労き裂進展挙動に及ぼす水素の影響
3.1 ステンレス鋼の種類と疲労試験上の注意
3.2 ステンレス鋼の疲労き裂進展に及ぼす水素の影響の研究で考慮すべきこと
3.3 使用材料および実験方法
3.4 実験結果および考察
3.5 まとめと設計への指針
第4章 オーステナイト系ステンレス鋼の疲労における水素脆化メカニズム
4.1 水素脆化現象の要点
4.2 調査対象材料と実験方法
4.3 驚くべき実験結果とそれに基づく考察
4.4 まとめと設計への指針
第5章 水素脆化と逆の水素の影響:水素による著しい疲労強度向上効果
5.1 水素の影響の奇妙な側面
5.2 SUS304, SUS316L への過飽和水素チャージと疲労試験
5.3 常識をくつがえす結果と水素の役割についての考察
5.4 まとめと設計・製造への指針
第6章 水素ステーション蓄圧器用低合金鋼の疲労強度特性に及ぼす水素の影響
6.1 35 MPa 水素ステーション蓄圧器用低合金鋼 SCM435 の疲労強度特性
6.2 70 MPa 水素ステーション蓄圧器用低合金鋼 SNCM439 の疲労強度特性
6.3 設計・製造への指針
付 録
A.1 切り出した円板試料中の水素量の検討
A.2 水素による疲労き裂進展下限界値低下を考慮した修正 S - N 曲線の導出
第7章 微小き裂の疲労き裂進展下限界値
7.1 疲労き裂進展下限界値に及ぼす内部水素の影響
7.2 微小き裂の進展に及ぼす応力比と水素ガス環境などの影響
7.3 まとめと設計・製造への指針
第8章 炭素鋼の疲労き裂進展特性に及ぼす水素の影響:長いき裂の場合
8.1 低圧水素パイプライン候補炭素鋼鋼管 SGP の疲労き裂進展特性に及ぼす内部水素の影響
8.2 炭素鋼 SM490B の疲労き裂進展特性に及ぼす外部水素の影響
8.3 設計・製造への指針
第9章 低合金鋼の長周期変動応力下のき裂進展加速
9.1 三角波応力下のき裂進展に及ぼす応力比と材料強度の影響
9.2 応力保持波形による時間依存型き裂進展
9.3 まとめと設計・製造への指針
第10章 地震時の大応力の影響
10.1 地震時の大応力の影響
10.2 まとめと設計・製造への指針
第11章 フレッティング疲労
11.1 低合金鋼 SCM435H の水素ガス中フレッティング疲労
11.2 低合金鋼窒化材の水素ガス中フレッティング疲労
11.3 SUS304, SUS316L, SUH660 の水素ガス中フレッティング疲労
11.4 SUS304, SUS316L 窒化材の水素ガス中フレッティング疲労
11.5 高濃度に水素が侵入した材料の水素ガス中フレッティング疲労
11.6 水素ガス中のフレッティング疲労強度低下の機構
11.7 まとめと設計・製造への指針
第12章 ステンレス鋼のねじり疲労に及ぼす水素の影響
12.1 ステンレス鋼のねじり疲労に及ぼす水素の影響
12.2 まとめと設計・製造への指針
第13章 引張特性に及ぼす水素の影響
13.1 背 景
13.2 低合金鋼SCM435 : 35MPa 水素ステーション蓄圧器用材料
13.3 炭素鋼 SGP : 0.1 MPa 低圧水素パイプライン候補材料
13.4 炭素鋼 STPG370 : 1 MPa高圧水素パイプライン候補材料
13.5 水素環境下におけるフェライト・パーライト炭素鋼の使用指針
13.6 オーステナイト系ステンレス鋼 SUS316L
13.7 設計・製造への指針
第14章 ゴム材料の耐久性に及ぼす水素の影響
14.1 背 景
14.2 高圧水素雰囲気に曝露したゴム材料の水素ガスによる破壊現象
14.3 モデル高圧容器を用いた Oリングの破壊状況
14.4 高圧水素ガス圧力容器用ゴム製シール材の損傷解析
14.5 き裂発生・進展に及ぼす つぶしの影響
14.6 Oリングの破壊に及ぼすゴム材料の膨潤の影響
14.7 高圧水素シール用 Oリングの設計・製造への指針
第15章 事例解析
15.1 「愛・地球博」水素ステーションのディスペンサの疲労損傷
15.2 液体水素輸送容器からの水素漏洩 (リーク) と検知の問題点
15.3 高圧水素曝露容器への水素侵入量の調査
15.4 35 MPa 水素ステーション蓄圧器用 SCM435 の破裂前漏洩 (LBB) 評価
15.5 水素圧力センサダイヤフラムの破損解析
付 録
A.水素拡散速度
B.飽和水素量
C.水素助長割れの下限界応力拡大係数
15.6 SUS316L 小径配管の疲労強度に及ぼす水素の影響
15.7 ステンレスコイルばねの疲労に及ぼす水素の影響
索 引

説明

(独) 新エネルギー・産業技術総合開発機構 NEDO事業「水素先端科学基礎研究事業」 (2006~2012年) のもと、九州大学 伊都キャンパスに設立された (独) 産業技術総合研究所 水素材料先端科学研究センター (HYDROGENIUS)の研究成果に基づいて、水素エネルギーシステムに必要となる水素の製造、貯蔵、輸送に関わる機器の設計や製造への指針を示している。

水素脆化に関する研究の歴史は長く、これまでに多くの知見が得られているが、本書に掲載されているデータや資料のほとんどは、水素機器の設計、製造への活用を考慮し、HYDROGENIUSにおいて開発された独特な手法に基づいて取得したものである。その理由は、従来の多くの研究では、材料中の水素量、試験速度など現象の正しい理解に欠かせない微視的観察データが必ずしも明確に示されていないため、それらの報告を実際に機器の設計や製造へ生かすことが困難と考えたからである。

多くの課題はまだ研究途中の段階ではあるが、できる限り早く水素社会を目指して地球温暖化防止を達成するとともに化石燃料枯渇問題に対処することが必要と考え、これまでのHYDROGENIUSの成果をまとめることとした。このような意味で,水素機器の設計,製造の現場において活用されるべきHYDROGENIUSの現時点での最新の成果をまとめた本書に比肩する類書は世界的にもないと自負している。

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