説明
国際農林水産業研究センターによるインドシナ天水農業プロジェクトは,2002 年度よりスタートし,2010 年度まで9 年の長きにわたって活動を続けてきた。
なぜなら、21 世紀は水危機の世紀になると警告され,その危機の焦点は紛れもなく食料生産にあるからである。農業革命の一つとされる緑の革命は,化学肥料・農薬・灌漑の3 点セットで農業生産を飛躍的に増大した。しかし,その革命も20 世紀の終わりを待たずして限界に達したと言われる。そのネックは灌漑である。開発可能な水資源はもはやほとんどないといわれる。そのような中,天水農業は緑の革命から取り残されたまま現在に至っている。(天水農業とは,灌漑されていない,いわゆる雨頼みの農業を指す)
天水農業プロジェクトのサイトは,タイ東北部の丘陵地から始まり,ラオス北部の山岳地そしてラオス中部の平地へと展開していった。これは研究のやりやすさという面でいうと,単純な対象からより複雑な対象へと難易度を上げていった過程でもある。
本書は,インドシナ天水農業プロジェクトの活動内容並びに成果をなるべく平易に概説し,読者の方々にプロジェクトが目指した「受益者である農民の手に届く研究」についてのご理解を得ることである。
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