説明
初版が発行されて以降、わが国の食料を取り巻く社会状況は大きく変動した。米についてみると、流通制度の改変、輸入の義務化、そして消費量の急減など、米作の根源に関わるような変化が起こった。最近では国際的な原油価格やバイオエネルギー需要の上昇などにより、穀類の価格が大幅に上昇したため、輸入に依存している国々では基本的食料の安定供給が困難な事態が生じている。一方、生産技術の面では、播種、移植、管理および収穫の機械化が進み、労働生産性は格段に向上した。また、30前には予測できなかった遺伝子組換え技術が実用化し、生態系や健康面への影響が懸念されてはいるものの、南北アメリカを中心にこの技術により作出された品種が主役になりつつある。
本書改訂の目的は、上記のような社会経済的変化や科学技術の進展を内容に反映させることである。そのため、生産状況、生理的特性や栽培技術、利用技術などに関わる記述は全面的に改め、対応する図表や文献も相当数を入れ替えた。一方、星川先生自ら描かれた植物や器官・組織の絵は写真に勝る説得力を持っており、その多くをそのまま残すこととした。また、類書にない充実した参考文献の記載も本書の特徴であったので、入手困難な古い文献を削除しつつ、最近の重要文献の補充に努めた。
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