今昔:鉄と鋳物

3,960 (税込)

鉄の起源は『たたら』といわれる古代製鉄法で、土で炉を築き砂鉄を原料とし、木炭を燃料に鉄をつくる技術である。その鉄は現代の技術でも難しいほど不純物元素が少ない良質な鉄である。鉄という素朴な材料を工芸品の域に高めたものとして日本刀と茶釜がある。大仏や鐘、これらの金属製品はいつ頃、どのような方法でつくられ、その技術は現在どのように伝承されているかを、著者が現地に赴き、調査して著したのが本書である。 本書は分かり易さに加え多くの写真と図を配した内容で、関係者はもちろん、一般読者にも興味深く読むことの出来る物である。

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著者:
判型 B5判
第1版
ページ数 230
発行日 2007/07/31
ISBN-13 978-4-8425-0423-0 C3053
ISBN-10 4-8425-0423-4
JAN 1923053036002
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説明

日本の近代国家を築いた鉄の起源、それは「たたら」といわれる古代製鉄法で、土で炉を築き、砂鉄を原料とし、木炭を燃料に鉄をつくる技術である。できた鉄は、木炭や滓が介在してそのままでは使えないが、現代の技術でも難しいほど不純物元素が少ない良質な鉄である。鉄のイメージは、すぐに錆びて、しばらくするとボロボロになってしまうと考えられがちである。その鉄という素朴な材料を工芸品の粋に高めたものとして、日本刀と茶釜がある。これは、日本固有の文化でもある。また、古くから私たちの身近に感じてきた大仏や鐘、これらの金属製品はいつ頃、どのような方法でつくられ、その技術は現在どのように伝承されているのか。本書は、これらについて、私自身が疑問に感じたことや関心を持ったことについて記した。

弘法大師(空海)の書道の教えのことばを松尾芭蕉が意訳して、風雅(ここでは俳諧)について「古人の跡を求めず古人の求めたるところを求めよ」といっている。私も同様な気持ちで現地へ足を運び、実際に作業やそのものを肌で感じ、現地で話を伺い、さらに、不足な部分は、文献、図書、資料を参考に記した。また、写真や図表を多く取り入れて理解の助けとし、参考文献、図書、資料の出典を明らかにして、さらに詳しく知りたい方への道しるべとした。

これまで、古代の製鉄や鋳物に関しては、多くの研究書や書物が出版されている。しかし、専門書となると学術的で難解となり、手が遠のいてしまうし、書物についてもやはり専門的な内容が多く、その重圧に押されがちである。そこで、なるべく一般の読者にわかりやすくと心掛けて記した。

近年、モノづくりに対し関心が高まっている。本書によって、先人がつくり上げた古代の製鉄技術、大仏や鐘のつくり方や製作者の思い入れを少しでも理解していただければ幸いである。

(まえがきより抜粋)

目次

Ⅰ部 古代製鉄技法『たたら』
1章 『たたら』と『玉鋼』
1.1 はじめに:1.2 「神話とたたらの里」横田町へ:1.3 たたら精錬の特徴:1.4 操業前の準備:1.5 操業中の『たたら』:1.6 けら出し:1.7 『玉鋼』の良さ:1.8 おわりに
2章 アニメ「もののけ姫」に見るたたら製鉄
2.1 はじめに:2.2 鉄をつくる:2.3 たたら製鉄の場面:2.4 自然とたたら製鉄との関わり
3章 刀鍛冶を訪ねて
3.1 はじめに:3.2 日本刀のできるまで:3.3 工房見学:3.4 焼入れ実験風景:3.5 見学を終えて
4章 日本刀の鑑賞
4.1 はじめに:4.2 姿・形:4.3 展示の仕方:4.4 刀剣の分類:4.5 刀の装具:4.6 刃紋:4.7 錵、匂:4.8 相州正宗
5章 茶の湯釜
5.1 はじめに:5.2 茶釜の歴史:5.3 茶釜の産地:5.4 季節による釜の使いわけ:5.5 変容する茶の湯:5.6 底の張替え:5.7 和銑へのこだわり:5.8 釜を科学的に見る:5.9 おわりに
6章 釜をつくる
6.1 はじめに:6.2 デザインの決定:6.3 引き板の製作:6.4 造型作業:6.5 塗型:6.6 鐶付の型づくり:6.7 地紋付け(模様入れ):6.8 肌打ち(荒らし):6.9 中子納め:6.10 溶解:6.11 鋳込み:6.12 型ばらし:6.13 焼締め(焼抜き):6.14 補修:6.15 表面仕上げ:6.16 蓋の製作:6.17 おわりに

Ⅱ部 鋳物をつくる
1章 奈良の大仏はどのようにしてつくられたか
1.1 はじめに:1.2 背景:1.3 奈良の大仏は一体でつくられたのではない:1.4 おわりに
2章 鎌倉の大仏はどのようにしてつくられたか
2.1 はじめに:2.2 背景:2.3 鎌倉の大仏も一体にはつくられていない:2.4 外型をつくる:2.5 中子をつくる:2.6 鋳込み作業:2.7 各段の接合方法:2.8 型ばらし:2.9 仕上げ:2.10 鍍金(金めっき):2.11 おわりに
3章 昭和の大仏はどのようにしてつくられたか
3.1 はじめに:3.2 鋳造と溶接の複合技術による製作:3.3 基礎工事:3.4 模型の製作:3.5 鋳型をつくる:3.6 鋳込み作業:3.7 組立て作業:3.8 仕上げ加工:3.9 おわりに
4章 大物鋳物の製作法
4.1 はじめに:4.2 鋳物とは:4.3 製作物(ケーシング)の概要:4.4 鋳造方案:4.5 鋳型をつくる:4.6 鋳込み作業:4.7 型ばらし作業:4.8 仕上げ作業
5章 鋳掛け作業
5.1 はじめに:5.2 鋳掛け:5.3 鋳掛け作業の方法:5.4 大仏の鋳掛け作業:5.5 鋳掛け師と鋳物師:5.6 江戸時代の鋳掛け職人:5.7 強度評価:5.8 鋳ぐるみ:5.9 おわりに
6章 鋳物のお医者さん
6.1 はじめに:6.2 鋳物のお医者さん:6.3 ねずみ鋳鉄の溶接性:6.4 溶接補修の方法:6.5 大物鋳物の溶接補修:6.6 小物鋳物の溶接:6.7 溶接箇所は下向きにする:6.8 強度評価:6.9 なぜガス溶接なのか:6.10 おわりに

Ⅲ部 鋳造の伝統技法
1章 現代の鋳物師
1.1 はじめに:1.2 川口の鋳物:1.3 現代の鋳物師:1.4 天水鉢:1.5 おわりに
2章 鐘をつくる-1
2.1 はじめに:2.2 梵鐘の形式:2.3 和鐘各部の名称:2.4 鋳物の歴史:2.5 梵鐘の製作:2.6 平和の鐘:2.7 おわりに
3章 鐘をつくる-2
3.1 はじめに:3.2 鐘の市場性:3.3 造型作業:3.4 溶解作業:3.5 仕上げ作業:3.6 表面処理:3.7 おわりに
4章 鐘をつくる-3
4.1 はじめに:4.2 造型:4.3 溶解・鋳込み:4.4 仕上げ:4.5 製品:4.6 おわりに
5章 こしき炉による溶解
5.1 はじめに:5.2 こしき炉:5.3 溶解準備:5.4 溶解作業:5.5 出湯:5.6 鋳込み:5.7 操業終了:5.8 おわりに

Ⅳ部 鐘を訪ねて
1章 天下の三鐘
1.1 はじめに:1.2 東大寺の鐘:1.3 園城寺の鐘:1.4 平等院の鐘:1.5 神護寺の鐘:1.6 おわりに
2章 三大鐘
2.1 はじめに:2.2 方広寺の鐘:2.3 知恩院の鐘:2.4 古鐘における三大鐘:2.5 世界最大の鐘:2.6 中国最大の鐘:2.7 韓国最大の鐘:2.8 幻の大鐘:2.9 おわりに
3章 鎌倉の三名鐘
3.1 はじめに:3.2 鎌倉時代の鐘の特徴:3.3 鎌倉の三銘鐘:3.4 おわりに
4章 中国鐘
4.1 はじめに:4.2 鋳造法:4.3 和鐘の祖型:4.4 中国南方域でつくられた鐘:4.5 中国北方域でつくられた鐘:4.6 龍頭の製作法:4.7 龍頭の下に見られる穴:4.8 おわりに
5章 朝鮮鐘―新羅時代
5.1 はじめに:5.2 特徴:5.3 各部の名称:5.4 鋳造法:5.5 日本に現存する新羅時代の朝鮮鐘:5.6 おわりに
6章 朝鮮鐘―高麗時代
6.1 はじめに:6.2 特徴:6.3 高麗時代の鐘:6.4 おわりに
7章 韓国鐘をつくる
7.1 はじめに:7.2 背景:7.3 模型製作:7.4 造型作業:7.5 型被せ:7.6 溶解・鋳込み作業:7.7 蝋型の復元:7.8 製品例:7.9 おわりに
8章 時の鐘
8.1 はじめに:8.2 「時の鐘」を撞く数:8.3 江戸の「時の鐘」:8.4 川越の「時の鐘」:8.5 わが国の時計:8.6 韓国・中国の「時の鐘」:8.7 おわりに
9章 半鐘
9.1 はじめに:9.2 梵鐘と半鐘(喚鐘):9.3 火消しと火の見櫓:9.4 半鐘の鳴らし方:9.5 半鐘の行方:9.6 寺院の半鐘(喚鐘):9.7 おわりに
10章 音を奏でる鐘
10.1 はじめに:10.2 編鐘:10.3 銅鐸:10.4 カリヨン:10.5 ハンドベル:10.6 おわりに
11章 鐘こぼればなし
11.1 はじめに:11.2 金石文:11.3 国宝、重要文化財の鐘:11.4 妙心寺の鐘:11.5 興福寺の鐘:11.6 大聖院の鐘:11.7 広隆寺の鐘:11.8 龍王寺の鐘:11.9 円照寺の鐘:11.10 ドラム缶の鐘:11.11 関東大震災慰霊鐘:11.12 おわりに
索引
あとがき

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