説明
種々の機械要素に関する図集が(社)日本機械学会より刊行されて以来すでに30年以上経過し、昨今の技術革新に対応した新しいすべり軸受図集出版の要望が(社)日本トライボロジー学会に数多く寄せられた。そこで、すべり軸受資料集編集委員会を設立し今回のすべり軸受資料集出版に至った。
(社)日本トライボロジー学会では、トライボロジーの先端科学技術に対応すべく、「トライボロジーハンドブック」、「トライボロジー辞典」、「トライボロジー故障例とその対策」、その他数多くの専門図書を出版している。すべり軸受に関しては、これらの専門書において、その潤滑メカニズム、設計式、設計線図、軸受材料や潤滑剤の選定基準、摩擦摩耗対策などが詳細に記載されている。しかし、これらの資料では実用に適するすべり軸受を設計することはきわめて困難である。軸受ブシュの油だまりや油溝、軸受ブシュを装着するハウジング、ハウジングを取り付ける機械の構造や形状、これらすべての諸寸法ならびに表面粗さや寸法公差や幾何公差などの情報が必要であり、実際に使用されているすべり軸受のこれらの経験値が不可欠である。特に、図面からは、図面の語りを聴くように、設計者の意図や工夫努力の経験を読み取ることができるので、便覧やハンドブック等の文章や図表に比べ、図面の情報量は比較にならない程、膨大かつ貴重なものである。
このような観点から、本書は、すべり軸受の設計技術者やトライボロジー研究者に直接役に立つ参考資料としてはもちろんのこと、専門外の技術者や研究者にもすべり軸受の現状がわかる資料、学校教育や社内教育に使用できる教材を提供すべく、自動車等も含め身近な機械、巨大・極小機器、先端機器、特殊条件下で用いられる機器等に使用される各種のすべり軸受を取り上げてある。また、慣例上、ブシュ、ワシャ、ピンなどの用語で呼ばれているものも、学術的にすべり軸受の範疇に属するものは広く取り上げている。
本書では、最初に、すべり軸受が使用されている機械や機器を図や写真によって紹介し、次に、そのすべり軸受の図面を掲載すると同時に、使用状態を表形式で示し、注意事項を記述する形式を採用した。また、主要な専門用語には英文表記を付した。
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