高度物理刺激と生体応答

3,520 (税込)

本書は「高度物理刺激」を力学刺激,電気刺激,プラズマ刺激,低酸素刺激に絞って紹介し,加えて本分野で重要な基礎技術である「生体応答」の“計測と予測”について,最新の研究成果を紹介。

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判型 B5判
第1版
ページ数 198
発行日 2017/08/26
ISBN-13 978-4-8425-0562-6 C3053
ISBN-10 4-8425-0562-1
JAN 1923053032004
図書館: カーリル
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目次

第1章 緒  論
第2章 力 学 刺 激
第3章 電 気 刺 激
第4章 プラズマ刺激
第5章 低 酸 素 刺 激
第6章 計測・予測と応用
索 引

説明

 生物は外部の環境に応じて様々な応答をして,生命活動を維持している.例えば,人間は視覚,聴覚,触覚,味覚,嗅覚などを有しているが,どのようにしてこれらの感覚に対応する刺激を受け取り,どのようにして認知するようになるのかは,大いに興味の湧くところであり,いままでにも多くの研究が成されてきている.

 近年,バイオテクノロジーの急速な発展により生体の状態を詳細に把握できるようになった.加えて,外部からの刺激を精緻に制御して与えることができる手法も大きく発展したため,外部の刺激に対する生体応答の詳細な機構が,細胞レベル,さらには遺伝子やタンパク質レベルで明らかになりつつある.この生体観察と物理刺激に関する両技術の進展により,複合した外部刺激を与えて,その生体応答に対する相乗効果を観察することや,高度化した外部刺激を用いることで,いままで未解明であった生体応答の機構の解明や,生体応答の新しい誘導法の発見,さらには異なる刺激に対する生体応答を比較することで,生体が刺激に対して柔軟に応答する機構を解明することなどが可能になりつつある.

 このように,「高度物理刺激」 に対する 「生体応答」 は,発展しつつある最先端の研究手法を用いた未開の新分野であり,最新の研究動向についても俯瞰できる成書が少ない.本書では,この新分野のうち,「高度物理刺激」 を力学刺激,電気刺激,プラズマ刺激,低酸素刺激に絞って,これらに対する 「生体応答」 を紹介し,加えて本分野で重要な基礎技術である 「生体応答」 の “計測と予測” について,わが国の第一線の研究者にお願いし,最新の研究成果について紹介していただいた.できるだけ多くの研究を包括的に紹介するため,各項目は数頁以内とした.

 本書では,第1章では緒論として,生体へ与える刺激としてどのような刺激があるのか,またそれに対する様々な生体応答について概説している.また,生体応答の研究や応用において見過ごされがちな生命倫理の視点から,特に遺伝医療にトピックを絞り問題点を解説する.加えて,本分野の将来展望について,わが国の科学技術政策を踏まえて解説する.

 第2章では,力学刺激が血液循環系や骨・関節系の細胞に与える影響について解説する.また,細胞の力学的応答を利用した医工学応用技術について紹介する.さらに,生体膜の力学挙動,べん毛の駆動機構や流体力学解析技術について解説する.

 第3章では,電気刺激に対する細胞内外のイオンの挙動や生体膜の応答,イオンチャネルの活性化を素現象とした筋収縮および細胞内のカルシウムイオンの挙動,そしてタンパク質の構造変化について解説する.

 第4章では,プラズマの生成法と計測法ならびに数値解析による化学種の生成輸送予測を解説する.また,プラズマ刺激に対する動植物の細胞の遺伝子発現や細胞膜の応答について解説する.さらに,医療・殺菌応用として皮膚治療,火傷治癒,止血,薬剤経皮吸収,ミドリカビの殺菌,バイオフィルム産生病原性細菌の殺滅について紹介する.

 第5章では,低酸素刺激に対するタンパク質レベル,細胞レベル,個体レベルの視点から,低酸素負荷に起因する遺伝子発現の変化,マイクロ流体デバイスを用いたガン細胞の遊走能の評価,胎児脳出血の動物モデルの作成について解説する.

 第6章では,生体計測について,電場,濃度場,熱流動場などと生体応答に関する測定技術について解説する.また,数値解析については,分子スケールにおける,脂質二重膜中の熱エネルギー輸送特性や一次血栓形成の大規模数値シミュレーションを解説する.さらに,応用技術開発については,バイオ界面現象の本質的解明とヘルスケア材料の開発,コラーゲンマイクロゲルによる微小血管流路,生体適合性医療材料のためのDLC (Diamond – Like Carbon) 被覆処理やプラズマグラフト重合処理の原理と実施例について紹介する.

 本書では,生体応答の複雑さや機能性を理解するためには,多様な刺激を,特に工学・物理学的視点から包括・俯瞰することが大切であると考え,この主旨の色合いが薄い他の多くの重要な研究トピックスについては紹介を割愛している.本書が,未解明の現象の解明や新しい現象の発見,新たな装置の開発などの一助になれば幸いである.

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