説明
本書では,中国内モンゴルにおける酪農経営の経営状況および経営を取り巻く諸政策の実施を踏まえ,経済発展および環境保全を両立させ,持続的発展に資する方策について検討を行っていくことを目的とする. 具体的には,中国内モンゴルにおける酪農生産および環境保全政策の現状を整理したうえで,本書では,以下の課題について検討を行う.
第1の課題は,「農業産業化」政策などの経済発展政策および「生態移民」政策,「退耕還林・還草」政策,「禁牧」などの環境保全政策の実施により,内モンゴルの農業生産は大きな構造変化を見せていることが考えられるため,それら農業生産の構造変化を明らかにしたうえで,農牧民所得に影響を及ぼす要因の解明を行うことである.
第2の課題は,経済発展と環境保全の両立を目指した「生態移民」政策実施において,移民村へ移住し,そこで乳牛飼養を強いられている酪農経営を対象に,乳牛飼養技術や経営方針などが,個別経営の持続性にいかなる影響を及ぼしているのかを明らかにすることである.ここでは,個別経営のみならず,移民村の持続可能性に関しても地域・農村計画の視点からの検討も行う. 第3の課題は,メラミン事件を契機に,酪農生産における飼養管理およびリスク管理への重要性が高まっている状況を踏まえ,乳業メーカーおよび酪農経営の両者の対応関係性を明らかにし,飼養管理およびリスク管理の方策を検討することである.
第4の課題は,第3の課題と同様に,メラミン事件を契機として牛乳に対する消費者の不信感が高まっている状況を踏まえ,消費者を対象に,牛乳の安全性・リスクに対する意識を明らかにし,牛乳消費拡大の方策を検討することである.
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