近年、プラスチック系材料として注目されている強化プラスチック(FRP)で代表されるような軽量構造用材料
の開発と実用化に伴い、多くのプラスチック系材料が軽量で耐食性に優れた構造用材料として広く使用されるように
なった。このように人為的に創造され、構築されるニーズ指向型の構造材料には種々の材料特性を生かした複合材料
をはじめ、様々な複合構造体などがある。しかし、このような多くの新規材料や構造体の開発の中でも、特にサンド
イッチ構造は異種の材料特性を積極的に組み合わせて、素材の特性を有効に活用し、新規な機能的特性を有する構造
体の開発手段として多くの関心を呼んでいる。 サンドイッチ構造は、プラスチック系材料の機能的特性と成形性を生かし、かつ弾性率の低い材料の特性を補って高
剛性化するための手段として広く実用に供されている構造体である。また、このようなサンドイッチ構造は、新規材
料の開発や進歩などにも支えられ、また素材の特性を生かした様々な成形技術などを駆使し、新しい複合構造体が様
々な産業分野で拡大、展開されている。従来、サンドイッチ構造は単一の構造体に比べ、成形法も難しく高価な高機
能構造体として発展したこともあって、宇宙・航空関係といった特殊な分野でしか実用に供されていなかった。しか
し、最近の新素材の開発と成形技術の進歩に伴い、機械、建築、土木など、一般用構造材料の要求される幅広い応用
分野で使用される汎用の構造体として大いに関心が高まっている。 本書は、このような最近の技術的な進展の動向を踏まえ、サンドイッチ構造体のさらなる発展を目指して、また、サ
ンドイッチ構造に関心を寄せる多くの技術者に少しでもサンドイッチ構造の新規技術の開発に目を向けて貰うべく執
筆したものである。したがって、その内容は最近の素材の開発や成形加工技術などの進歩も含めて、サンドイッチ構
造の基礎とその応用技術に関する啓蒙書として広い読者層を対象に執筆したものである。そのため、サンドイッチ構
造では力学的な理論的展開の部分も多いが、本書ではできる限りこのような難しい計算式などはなるべく避けて、サ
ンドイッチ構造のメリットを感覚的に知っても貰うように注意を払ったものである。したがって、この書物を介して
少しでも多くの技術者にサンドイッチ構造の良さと、サンドイッチ構造による新規機能や新規技術を知り、その知識
を大いに実践に生かしていただければと考えている。
なお、私ごとで恐縮であるが、サンドイッチ構造に関する書物としてすでに「サンドイッチ構造の基礎」(日刊工業
新聞社刊)といった、サンドイッチ構造に関する設計技術者を対象とした書物が日刊工業新聞社から出版されている
ので、実際の設計に携わる技術者には、このような書物を参考にし、さらにキメの細かい設計をしていただければと
考える。 したがって、本書はあくまでもサンドイッチ構造のメリット、デメリットを十分理解し、従来の単一材料に比べサン
ドイッチ構造が如何に素材の特性を生かし、かつ素材を有効に活用できる手段であるかを知っていただき、サンドイ
ッチ構造採用のきっかけになればと考えている。そして、ここで得られた知識を活用して、少しでも多くの研究者・
技術者の皆様に新規構造体の開発手段として、本書を活用していただければと願っている。特に、最近の材料開発や
成形技術の進歩を含めて、複合材料、複合構造に関係する多くの皆様に大いに役立てていただければと心より願って
いるものである。
2008年2月
宮入裕夫 |